コヘレト(伝道の書)1章1~3節　説 教 「あなたの造り主を心に刻め」

メッセージの要旨
「あなたの造り主を心に刻め」コヘレト 1:1~3

本書の書名となっている「コヘレト」はヘブル語で「集会を招集する者」と
いう意味で、「伝道の書」「伝道者の書」とも呼ばれています。著者について
は不明ですが、伝統的にはソロモンが晩年になって書いたと言われてきまし
た。ソロモンは「栄華を極めた」と言われているように富も名声も手にしまし
た。しかし、政略結婚によって他国から多くの妻をめとり、その女性たちがそ
れぞれの国の偶像を持ち込んだこともあり、信仰的に堕落してしまいました。
晩年になって自分の人生を振り返り、若い人たちに教訓として語ったのが本書
だというのです。私たちも、そのような観点から本書が語ることを聞いていき
ましょう。
1.空の空
「空」と訳されている言葉は、ヘブル語で「へベル」という言葉ですが、「煙
のようにはかないもの」という意味です。人生は、何をしてもはかなく、むな
しいものだ、と言うのです。
　1知恵(知識)を求めても、完全には至らないのでむなしい(1:13,14、5:12)
　2快楽を求めても、それは一時的でむなしい(2:1,2)
　3事業を広げたが、それは風を追うようなことだった(2:4~11)。後継者
　 が正しく継いでくれるとは限らない(2:18,19)。仕事が増えればストレスが
　 増す(5:2)
　4悪がはびこっている(3:16)。虐げられる者を慰める者がいない。(4:1,2)
　5人間も動物も同じように死で終わる(3:19)
　6財産が増えても満足できないので、むなしい(5:9~11)
　7人は裸で帰って行く。何も携えて行くことはできない(5:12~16)
2.あなたの造り主を心に刻め
このように「すべてが空だ」というのは、神を離れた人生の姿です。そこで
著者は言います。「若い日に、あなたの造り主を心に刻め」(12:1)。
　1私たちは神様によって造られた神の作品です。人が造られた時、神様は「極
　 めて良かった」(創世記1:31)と言われました。神様は人を愛の対象、共に歩
　 むパートナーとして造ってくださったのです。
　2神様は一人ひとりを、目的をもって造ってくださいました。私たちは、偶
　 然、今、ここに存在しているのではありません。神様は、一人ひとりに、その
　 人でなければできない使命をゆだねて生かしてくださっているのです。
　3主イエスが復活されたことによって、死は終わりではなくなりました。で
　 すから、労苦は無駄になることはないのです(Iコリント15:58)。