「主が立たせてくださる」ペトロ第一 1:1~2
今朝からペトロ第一の手紙を少しずつ読んで、そこから主の語りかけを聞
いて礼拝をささげていきます。
1.執筆事情
この手紙は冒頭に記されていますように使徒ペトロから、ポントス、ガラテ
ヤ、カパドキア、アジア、ピティニアの各地にいるキリスト者に宛てて書かれ
た手紙です。ペトロが語ったことをシルワノ(シラス)がギリシャ語に翻訳し
て書いたようです(5:12)。書いた場所はバビロン(5:13)と言われていま
すが、黙示録14章8節ではローマのことをバビロンと言っていますので、この
手紙が書かれた場所はローマだと思われます。パウロは62年頃にローマで殉教
しました。そして、ペトロも64年にローマで殉教したと言われています。そこ
でこの手紙は、おそらく63年頃に書かれたのではないかと思われます。キリス
ト者であるというだけで迫害される時代でした。そのような中に置かれていた
諸教会を励ますために、この手紙は書かれました。
2.主が立たせてくださる
「イエス・キリストの使徒ペトロから」と書き始められています。「使徒」
とは、「遣わされた者」という意味です。彼はどのようにして使徒となったの
でしょうか。
(1)召命
ペトロは漁師でした。主イエスはその彼に目を留めて、「私に付いて来なさ
い。人間をとる漁師にしよう」(マタイ4:19)と言って彼を弟子に召されまし
た。主イエスが彼を召してくださったのです。
(2)挫折
主イエスが捕らえられ裁判を受けているときに、ペトロは「主イエスを知ら
ない」と3度も言って、主イエスを裏切ってしまいました。彼は、「他の弟子た
ちがつまずいても自分はつまずかない」と豪語していました。使徒の務めを果
たすためには、その高慢さが砕かれる必要がありました。
(3)再召命
復活された主イエスは、ペトロに3度、「私を愛するか」と問われました。ペ
トロは主イエスを裏切った自分を見捨てずにいてくださる主イエスの愛に感激
したことでしょう。ペトロは「こんなだらしのない自分だけれども、あなたを
愛していることは、あなたは知っていてくださいます」と答えています。その
彼に、主イエスは「私の羊を飼いなさい」と言われて、使徒として任じてくだ
さったのです。このペトロが、愛を込めて書いたのがこの手紙です。