2025年5月25日(日)礼拝説教「神の約束に信頼して 」使徒言行録 7章1~16節 島津師

「神の約束に信頼して」使徒言行録 7章1~16節

1.ステファノを訴えた人たち
ステファノを訴えた人たちは、「解放奴隷とキレネ人とアレクサンドリア人の会堂」と呼ばれる会堂の人々、また、キリキヤ州とアジア州出身の人々と言われています。彼らは外国で生まれ育ち、イスラエルに戻ってきた人たちです。
ですから、彼らは6章に出てきたギリシャ語を話すユダヤ人で、ステファノと同じ境遇の人たちでした。彼らがステファノを訴えた理由は、「この聖なる場所(神殿)と律法をけなしている」「あのナザレのイエスは、この場所を破壊し、モーセが我々に伝えた慣習を変える」と言っている、というものでした。
つまり、神殿と律法をないがしろにしていると訴えたのです。外国で生活すると、母国の伝統や文化により強く愛着を感じることがあります。彼らは、仲間であるはずのステファノたちが「主イエスこそが救い主だ」と言って伝道していることに対して、イスラエルの宗教、伝統を壊すものだという危機感を持ったのです。
2.ステファノの弁明
(1)アブラハム
ステファノは、まず信仰の父アブラハムから説き起こします。ステファノは、アブラハムがまだメソポタミアにいたときに、神は彼に語りかけ、今あなたがたが住んでいる地に導かれたではないか、と言います。つまり、神は神殿の中に限定されるお方ではなく、世界中のどこででもご臨在を現し、語りかけてくださるお方だということです。また、アブラハムは神が語られた御言葉に従い、出て行きました。信仰生活とは、決められた律法を守るということにまさって、神を信頼し、語りかけられた御言葉に勇敢に従う生活なのです。
(2)ヨセフ
ヨセフは兄たちに妬まれてエジプトに奴隷として売られてしまいました。しかし、神はヨセフと共におられ、あらゆる苦難から助け出してくださいました。彼はエジプトの宰相に任じられ、飢饉の中から家族を救うことになります。
ここでも、神はエルサレエムの神殿に限定されるお方ではなく、エジプトをも治めておられるお方だと言われているのです。そして信仰生活とは、定められたルールを守るという生き方ではなく、万事を益としてくださる神を信頼して生きる、ダイナミックな生き方なのです。